ホテルのポジショニングを意識しろ

【ホテル総支配人のブログ 第60話】

「ホテルのポジショニングを意識しろ」

ホテルを運営するにあたり、市場内における自社のポジションを意識することが重要である。これは例えば、サッカーの場合は選手のポジショニング、株取引の場合はポートフォリオの変更などと同じ考え方で、自分自身をマーケット内のどこに「意図的に位置付けるか」という戦略的なポジショニングのことである。

ポジショニングの分かりやすい例としては、ホテルの価格戦略が挙げられる。同一市場内のどの価格帯に自社を置くかを考える場合、例えばラグジュアリーなAホテルと、低価格帯のBホテルの中間あたりに価格設定をしようなどと考えたりする。また、シーズンによって価格戦略のポジショニングを変更することもある。私が勤務していたホテルでは、ウィンターシーズンのピークである12月から2月までは強気の価格戦略にし、雪質の悪くなる3月には競合他社の中で最も安い価格に変更するというドラスチックな価格戦略を採っていた。同じ競合相手でも、シーズンによって価格戦略を変更することもあり得るのである。

しかも、競合ホテルのポジショニングは刻一刻と変化するので、それに合わせて自社のポジショニングも変えていかなければならない。私たちは、毎週のセールスミーティングで、向こう一年分の販売価格を全てチェックし、競合他社と比較して自社の価格が適正かどうかを常にチェックしていた。これは相手からの「問いかけ」のようなもので、常にフィールド内の他社の位置を確認し、その中で自分が有利に振る舞えるポジションを探して戦うことが大切である。