プロスノーボーダーとのスポンサー契約

【ホテル総支配人のブログ 第38話】

「プロスノーボーダーとのスポンサー契約」

我々のホテルは、ウィンタースポーツが盛んなリゾート地にある。その地域では後発のホテルであるので、ブランド力も弱く顧客ベースも脆弱、集客力も顧客ベースもない状態からのスタートであった。

予算が潤沢にあるホテルなら良いのだが、そんなものはない。ない知恵を使って集客をする方法を考えるしかない。誰かが「うちの会社は餌をつけずに魚を釣って来いと言われる」と冗談を言っていたが、自分たちも同様に、餌をつけずに魚を釣らなければならなかった。

そんな中で、私たちは常に競合他社と違う方法で、ホテルをプロモーションする方法を考えていた。ユニークかつ奇抜な方法で、ホテルを宣伝する方が面白い。インフルエンサーマーケティングを例にとってみると、競合他社は影響力のあるインフルエンサーをホテルに招待することで、ホテルの知名度を上げる戦略を採る。でもインフルエンサーも玉石混交であり、影響力の弱い「なんちゃってインフルエンサー」も多い。

そのような中で、我々はまずスキーヤースノーボーダーを中心に、インフルエンサーを探してきた。もちろん伝手など皆無である。でも色々と探してみたら、自分の大学時代の同級生で、スノーボード界で活躍している女性選手(Nさん)がいることを思い出した。そこで、Nさんに勇気を振り絞ってコンタクトを取ってみると、約20年ぶりのことなのに、大学時代の自分を奇跡的に覚えていてくれたのだ。その人をインフルエンサーとして招待したのが、全ての始まりだった。もちろんそのNさんは第一線で活躍されてきた方だから、友人や知人にも影響力のあるスキーヤースノーボーダーが沢山おり、その方達も一緒にホテルに連れて来てくれた。しかもそれだけではない。Nさんは、後に元オリンピック選手やプロサーファーなども紹介してくれた。名前を出すことは控えさせて頂くが、結果としてかなり多くのインフルエンサーをお迎えすることが出来た。

その他にも、我々のホテルは、あるプロスノーボーダーとスポンサー契約を締結した。超一流のスノーボーダーではないが、それでもスノーボード界で活躍する選手であることは間違いない。その方とホテルがスポンサー契約を結べたのである。ほぼ無名のホテルが、プロスノーボーダーとスポンサー契約を結べるなんて、自分にとっては奇跡以外の何ものでもない。こうやって知恵を絞れば、我々だって餌がなくても魚が釣れることが分かり、とても大きな自信へと繋がった。お金がないなら、知恵を絞って集客をするしかない。我々のホテルですら出来るのだから、これは誰だって出来ることだと思う。お金がないからといって、諦めてはいけないのである。