GMとのネットワークを大切にすべし

【ホテル総支配人のブログ 第55話】

「近隣のGMとのネットワークを大切にすべし」

これは私が小さなリゾート地で働いているからかもしれないが、例え競合他社であったとしても、近隣のGMとのネットワークは大切にした方が良いと思っている。その理由としては、大きく二つある。

まず一つ目は、ホテル運営に関する情報交換のためである。例えば私たちのリゾート地では、今月の実績や売り上げのフォーキャスト、コロナに対するホテルとしての対応、採用候補者のリファレンスチェック、ホテルのオペレーション上の問題など、とにかく様々なことをオープンに話してくれる総支配人が多い。もちろん情報はギブアンドテイクなので、こちらからも必要な情報は出すようにしている。当然、企業のポリシーによって公開できない情報もあるだろうが、それ以外の情報を共有することで、市場内での「自社の立ち位置」を常に確認しておくことが大切である。これらの情報は、現場レベルで留め、本社と共有する必要のないものかもしれないが、少なくとも現場のトップとしては常にアンテナを張り巡らせておくべきである。

二つ目の理由は、一人の人間としての悩み相談であり、私にとってはこちらの方が大きな意味を持っている。ホテルの総支配人は現場の責任者という立場上、悩みを正直に話せる人間が組織内にいない場合が多く、しかも部下からは総支配人の抱える問題はなかなか分からない。そのような時に相談相手となってくれるのが、やはり同じく重責を担っている競合の総支配人なのである。私はいつも近隣の総支配人にアポを取り、色々なことに関してアドバイスを頂いてきた。例えば、部署長のマネジメントやコミュニケーション方法、自己管理方法、本社やオーナーとの関わり方など、GMを経験した方でないと分からないような問題について相談してきた。また総支配人は、替えがきくポジションだから、転職の際のアドバイスを頂くこともある。私の相談相手は、自分より年上でGM経験が豊富であるため、的確なアドバイスが頂けることが多く、これまで何度も彼らの助言に救われてきた。このような理由から、特に新米の総支配人は、各施設の総支配人との関係構築に努めるべきである。