先読みのサービス

【ホテル総支配人のブログ 第34話】

「先読みのサービスとは何か?」

今回はこのようなタイトルにしてみたが、自分はそんなに格好良いことを語るつもりはない。何故なら、恥ずかしながら自分は先読みのサービスが苦手だからである。これはホテリエとして致命的な欠点かもしれないが、人には得手不得手があるので、自分は仕方がないと諦めている。

そんな私でも、先読みのサービスについて辿り着いた結論がある。それは「二手先が読めれば良い」という、最低限の先読みが出来ればそれで良いという考え方である。

私の考える「二手先」とは、どのようなものか。それは、以下のようなことである。

「今日は雨が降りそうだ。だから傘を持ってお出かけしよう。」

これはシンプルな例えだが、これこそが先読みのサービスの要諦である。当たり前のことで拍子抜けするかもしれないが、この考え方が出来れば、お客様にサービスをする上で、大変役に立つ。それだけではなく、普段仕事をする上でも大事なスキルだと私は考える。

「あのお客様は、ロビーでキョロキョロしている。何かを探しているようだから、こちらから話しかけてみよう。」

「明日チェックインのお客様は記念日でのご宿泊だ。それなら、少し良いお部屋とはシャンパンを用意すると、お客様は喜んでくれるだろう。」

「今日は私のボスが本社会議に出席する日だ。今回は予算のことがテーマになるはずだから、会議の前に予算関連の情報提供をしておこう。」

このように色々と応用が効く。

それ以上の先読みは出来ないと自分では分かっているので、先読みや気遣いが必要なサービスの最前線には、それが上手なスタッフを配置する。自分が出来ないことは、他人に補って貰えば良いのである。