スタッフはハッピーか?

【ホテル総支配人のブログ 第28話】

「スタッフはハッピーか?」

変な横文字で格好悪いのだが、自分はこの言葉をいつも自問している。スタッフがハッピーでないと、心にゆとりも生まれないし、結果としてスタッフ間やお客様に対する優しさも生まれない。館内にゴミが落ちていたり汚れていたとしても、忙しすぎたり気持ちに余裕がないと、そんなことは簡単に見過ごしてしまう。自然な笑顔も出てこなくなる。

そうならないために、まずこちらで簡単に出来ることは、スタッフの「ガス抜き」である。「仕事は順調に進んでる?」とか、「昨日は大変だったみたいね」とか、「最近体調はどう?」などと聞くと、本音では言わないかもしれないが、それでもスタッフは言いたいことを私に言ってくれる。普段はGMと話す必要はないかもしれないが、いざという時のためにコミュニケーションのパイプを確保し、常に問題を報告しやすい環境にしておきたいと私は考えている。

あとは金銭的、時間的なゆとりを持たせることだ。お給料をすぐに上げることは難しいが、出来れば少し小銭がポケットにあるくらいの状態にしてあげた方が良い。そうしないと、例えばスタッフはアルバイトをして稼ぐとか、残業代で稼ぐとか、経費を水増しするとか、そういう発想になりやすい。それであれば、少しだけお給料を多く支払う方が、スタッフに変な考えを持たせずに済む。これはGMでなければ出来ないことであるが、それでも自分は従業員の7割の給与を上げてきたし、これによってスタッフの考え方や行動も前向きになってたので、スタッフの待遇を改善して本当に良かったと思っている。スタッフが普段の買い物で、「ビールを一本多く」「チョコレートを一つ多く」とか、飲み会が好きならば「月に一回多く」、旅行が好きならば「年に一回多く」など、人生を楽しませる余裕を作ってあげる努力をしなければならない。

最後は、スタッフに時間的な余裕を与えること。有給は出来るだけ消化させ、時間外労働も必要な時以外はさせないという環境に持っていく。これも理想論に聞こえるかもしれないが、自分はスタッフの有給消化率をかなり改善してきたから、自信を持って大切なことだと言える。

結局のところ、スタッフが7割くらいの実力で、長く働ける環境を目指すのが自分の理想である。仕事だけが人生ではないし、社会人人生は短距離走ではなく長距離走なのだから。