とりあえず自前でやってみよう(DIY精神)

【ホテル総支配人のブログ 第56話】

「お金がないから、とりあえず自前でやってみよう」

私たちのホテルでは、利用可能なリソースが非常に限られているため、とにかく自分たちで何でもやらなくてはならない。特にコロナ禍では、ホテル自体が生き残ることで精一杯だったので、全ての予算をギリギリまで削っていた。そういう環境では、お金がないから知恵を使って乗り切るしかない。

例えば、我々のホテルにはマーケティングチームがなく、さらに予算もほぼゼロのため、SNSの運用は私がほぼ一人で担当しなければならなかった。このような厳しい環境では、人は強くならざるを得ない。私も最初は、動画の作り方や編集方法など一切分からなかったので、YouTubeを観ながら独学で映像作成について学んでいった。そのおかげで、今ではプロのレベルまでは達していないものの、人様にお見せ出来るレベルの動画を作成することが出来るようになった。

その他にも、我々のホテルにはエンジニアのチームがない。そのため、例えば客室のドアの調子が悪かったり、キッチンのスライドドアがしっかり閉まらないなどの問題が発生した時には、とりあえず自分が調査をしに行がなければならない。そして問題の原因を自分なりに把握し、部品の交換が必要であればその部品の型番を調べ、そしてオンラインで購入して自分たちで修理をする。とりあえずやってみることを繰り返した結果、自分のエンジニアリングスキルはかなり向上した。

皆さんにとって「とりあえず」という言葉はネガティブなイメージを持つ言葉かもしれないが、私はこの「とりあえず」という言葉が好きである。何か問題があれば「とりあえず」自分が見に行く。挑戦しなければならないことがあれば、「とりあえず」自分でやってみる。私たちのホテルは山奥にあるので、外部の業者を呼ぶには時間がかかり過ぎる。そのため、まずは自分たちで出来る方法を探してみるという習慣が身に付いてしまった。

私が総支配人として学んだことの一つは、何でも「とりあえず自分でやってみる精神(DIY精神)」であり、この姿勢をいつも忘れずにいようと思う。このDIY精神があると、将来的にその仕事を外注しようとした場合、見積もり金額が適正かどうかを自分で判断する材料にもなるので便利である。その意味でも「なんでも一度は自分でやってみる」というアプローチが重要だと思う。