Revenue takes care of itself

【ホテル総支配人のブログ 第13話】

スイス人の上司がよく使うのが、「Revenue takes care of itself」というフレーズだ。上手い日本語訳が見つからないが、つまり「売り上げがあれば、全ての問題が解決する」ということだ。これは至極当然のことであるが、実現するのは非常に難しい。十分な売り上げがあれば、人件費も払えるし、備品の購入や施設のメンテナンスも出来る。広告宣伝費だってかけられる。そうすると、更なる売り上げの増加が見込める。逆に売り上げがないと、ビジネスとしてはお話にならないし、存在意義がないということだ。

私はコロナの真っ只中でホテルのGMになったので、赤字の苦しさを嫌というほど味わったし、その後のホテルの黒字化も経験した。とても苦しかったが、今考えると良い経験をさせて貰ったと思う。ホテルが黒字になると、これまで買い控えていたものが買えるようになる。壊れていた電話や洗濯機を買い替え、放ったらかしにせざるを得なかった問題箇所を修繕し、スタッフの給与も上げた。「衣食足りて礼節を知る」ではないが、ホテルも売り上げがあって、初めて一人前のホテルになるのだ。

その売り上げはどこから来ているのかというと、当然お客様のポケットから来ている。自分たちの給料は、会社から貰っているのではなく、目の前にいるお客様から頂いているという感覚を忘れてはならない。会社は、ただお金が経由している場所に過ぎない。そのお金を頂くお客様をいかに満足させるのかということについては、また別の機会に考えてみたいと思う。