大きく稼いで少なく使え

【ホテル総支配人のブログ 第22話】

「大きく稼いで少なく使え」

とてもシンプルな考え方であるが、これこそがホテル経営の肝であると思う。ホテルのGMをやってみると、難しい仕事というのはそれほど多くはなく、むしろ当たり前だと思えることをいかに徹底して実践することが出来るのかが重要なのだと気付かされる。ホテルの清掃にしてもコスト管理にしても、凡事徹底こそが成功の要因なのだ。

特にコストには注意しなければならない。私の上司は、本当にシビアにコスト管理をする方であった。私たちのホテルも、過去2年間はほぼ消耗品しか購入させてもらえなかった。そこまで徹底的にお金を守っていたのである。今思うと、上司の徹底したコスト管理方法を学べて本当に良かったと思う。「ケチ」なくらいに、全てのコストをチェックしなければ駄目なのだ。

うちのホテルのオーナーなどは、もっともっと「ケチ」だ。恐らく世の中のお金持ちは、「ケチ」だからこそお金持ちになれるのだろう。ホテルオーナーは、いつも売り上げをいかに大きくするかについて考えているだけではなく、コストにも常に目を光らせている。水道光熱費や人件費など、あらゆるコストをカットする方法を質問してくる。これはこれで、オーナーとしては正しい姿勢のように思える。

私はホテルのGMの立場から、厳しくコスト管理をしてきた。売り上げが少ない時は、経費削減をするしかないので簡単なのだが、逆に売り上げが伸びている時こそ経費管理が甘くなってしまうので注意が必要である。さもなければ、売り上げが大きくなると気持ちも大きくなり、「多少の出費なら良いか」という気分になってしまう。だが、その気の緩みが命取りとなる。大きく稼いでいる時こそ、小さなコストも細心の注意を払うべきなのだ。