RevPARに関する考察

【ホテル総支配人のブログ 第19話】

「RevPARは信頼できる指標か?RevPARは高ければ高い方が良いのか?」

今回は少し真面目に、ホテルの経営指標について考えてみたいと思う。ホテルの客室稼働率(Occupancy, OCC)と客室平均単価(Average daily rate, ADR)を掛け合わせると、販売可能な客室一室あたりの収益(Revenue per available rooms, RevPAR)が計算される。宿泊部門だけを見ると、OCCとADRを両方とも高くすることが求められる。それは収益を最大するのが彼らの仕事なので、至極当然のことである。自分も宿泊部門出身なので、途中まではRevPARを最大化することだけを考えていた。

しかし、収益とオペレーションのバランス、顧客満足度従業員満足度、オーナー対応、そして何より売り上げと同様に利益も重視しなければならないGMにとっては、RevPARだけを指標にすることは出来ない。しかも、将棋や麻雀などのゲームと同様に、勝負には局面がある。その局面ごとの戦術がやはり大事だと思う。そのため、私は現在はRevPAR至上主義という訳ではなく、どちらかと懐疑的な立場である。

例えば、私の勤務するホテルはリゾート地にあるため、閑散期と繁忙期の差が激しい。繁忙期は特に忙しいし、最近ではスタッフも満足に集められない。そのような局面では、RevPARを最適化するという視点よりも、ADRを少し高めにキープし、客室稼働率を落とした上で、スタッフがケアできるだけのゲストに集中してサービスをする方が絶対に良い。逆に閑散期は、閑古鳥が鳴くほど暇なので、原価を見て価格を下げる必要がある。但し、原価ギリギリではなく、そこでも少しADRにゆとりを持たせるように高めの価格設定をしなければ、ホテルにとっての余裕は生まれない。結局のところ、繁忙期も閑散期もADRを重視すべきというのが、GMとしての私の結論である。オーナーはオーナーで、また別のことを考えているはずなので、その点についてまた別の機会に考察する。