感謝される仕事

【ホテル総支配人のブログ 第27話】

ホテルで働いていると、いつもお客様から「ありがとうございました」「お世話になりました」と言われる。こちらがお金を頂いてサービスを提供する立場なのに、お客様が滞在に満足されて、お帰りの際にお礼の気持ちまでこちらに伝えられてしまうと、何だか不思議な気分になってしまうのは自分だけだろうか。ホテルとしては、ご宿泊頂けただけでも有難いと感謝しているのに、逆にお客様から感謝の気持ちを返される。それは見過ごしがちだが、とても心温まる瞬間だと思う。お互いがお礼の気持ちを持っているということなのだから。

また、時にはお礼のお手紙や、小さなメモにお礼の言葉を書いて客室に残して下さるお客様もいらっしゃる。これは必ずGMである私のところに回ってくるのだが、それを見ると大変嬉しくなる。特に手書きというのがポイントである。そうされると、自分としては決して捨てられないので、読み終えたらいつも大切に保管することにしている。

歳を重ねて、さらに自分も人の親になったこともあるのかもしれないが、このような小さな「気持ち」が、昔よりも嬉しく感じられるようになった気がする。