年上の部下を使うには

【ホテル総支配人のブログ 第30話】

「年上の部下を使うには」

2020年に自分が初めて総支配人になった時、自分の直属の部下は5名いたが、その全員が自分より年上の方だった。その当時は、GMの経験が皆無だったので、年上の部下と上手くやっていけるのか不安だったし、意見が全く合わないことも多くて本当に大変だった記憶がある。

今は総支配人になって二年以上が経つが、その当時と比べて自分は成長したのだろうか。立ち止まって考えてみると、昔よりは上手くコミュニケーションを取り、皆さんの協力を得ながら何とか組織を回せていると思う。

この数年間で何が変わったのか。まず、年上の部下を使うのに「慣れた」ということがあるだろう。最初は年上の方に仕事をお願いすることを躊躇することが多かったが、やってみると色々と案外皆さんが協力してくれることが分かった。それもそのはずである。部下の皆さんは、私個人の命令に従っているのではなく、あくまでも私の役職である「総支配人」の指示に従っているのだから。しかも彼らの方が年上なので、自分よりも知識や経験が豊富だ。そのスキルを十分に発揮して働いてもらうことだけを考えれば良いのである。結局のところ、方向性さえ間違えていなければ、あとは皆さんの自発性を尊重して働いて貰えるような人間関係を築くことが大事なのだと思う。

あとは、いつも感謝の気持ちを本人に伝えること。自分の下で働いて下さる皆さんに対し、「〇〇をして頂いて、ありがとうございます」と、口に出してお礼をするようにしている。一つ一つのことを当たり前だと思わずに、仕事をして下さったことに感謝をする姿勢を忘れないようにしている。

結局は、自分は役職が上であるだけであり、人としては彼らの方が「先輩」なのである。だから、いつも目上の人を敬う気持ちで接することが大切だ。

最後に、人の上に立つ人間ほど、謙虚であるべきだと私は思っている。総支配人は、常に謙虚であるべし。

「実るほど頭を垂れる稲穂かな」である。

とにかく「慣れ」「感謝」「謙虚さ」が、年上の部下を使う上で大切なことだと自分では思っている。