心の冷たいお客様

【ホテル総支配人のブログ 第44話】

「心の冷たいお客様」

今回は少しデリケートなトピックを扱ってみる。本当は「心の貧しいお客様」というタイトルにしようかと迷ったが、少しマイルドに「心の冷たいお客様」にしてみた。いずれにしても、ごく稀に「心の冷たいお客様」に出会うことがあるので、そのようなお客様についてブログで触れてみたいと思う。

当然のことではあるが、ホテルはさまざまなお客様をお迎えしている。私たちのホテルはスキーリゾートにあるため、冬期にホテルを利用されるお客様が多く、特に最近は海外からのお客様が急激に増えている。私はこれまで数多くのお客様に接してきたせいか、スタッフへの話し方やお客様同士の話を聞く中で、何となくではあるが「お客様の人生そのもの」を垣間見ることができると感じる時がある。

例えば家族での旅行であれば、お客様の国籍がどうであれ、やはりその家族から「お互いへの愛情」が感じられることが多い。子供を世話するお母さんや、ご高齢の両親を労わりながら家族旅行を楽しむ方など、とにかく側から見ているだけで、その家族の温かさがこちらまで伝わってくるものである。

しかし、稀にではあるが、接するとこちらまでが寂しくなってしまうようなお客様がいらっしゃることも事実である。あまり具体的には言えないが、例えばご滞在中に奥様を怪我させた(と思われる)旦那様や、ドラッグや性的な話ばかりしている友人同士など、出来ることならあまり触れたくないお客様も中にはいらっしゃる。

しかも、最近の傾向として、そのような問題を抱えるお客様は「日本人」であることが多い。お金があっても、人格やお金の使い方が追いついていない人というか、ステータスが高くてもどこか「陰」のある日本人が多いことに驚かされる。日本人は、みんな心を育てることを忘れてしまったのだろうかと考えさせられるようなことも多い。だから我々も、高いお金を払ってご宿泊される日本人のお客様を、内心ではとても警戒している。

海外のビジネスオーナーなどの桁外れのお客様もホテルでお迎えすることがあるが、そのようなお客様たちはスタッフへの接し方や、滞在の楽しみ方に「余裕」がある。しかし、当ホテルにご宿泊される日本人には、どこか無理をしているからなのか、それとも日本人の国民性なのか、佇まいから「余裕」を感じられないことが多い。

お金だけあっても、周りの人を大切にできない日本人、もしくはまともな人格とは言えない「心の貧しい」日本人が増えていることを、私は職業人の立場から非常に憂いている。