私たちのホテルはレベルが低い(失敗その1)

【ホテル総支配人のブログ 第9話】

私のGM業は失敗の連続である。いつも何か新しいことに挑戦しているからこそ、失敗の経験が多いと言えなくもないが、振り返ると成功よりも失敗の方がはるかに多かった気がする。それを一つずつ棚卸ししていこう。

まず私がした大きな失敗の一つは、自社の実力レベルを過大評価していたことだ。最初は自分のホテルが、「レベルの高いホテル」だと思っていたのである。そのため、「自分が週末にいなくても、スタッフだけでホテルを何とか回せる」と思い込み、自分が大きなホテルのGMであるかのように振る舞っていた。それは、自分にとってはGM業に専念していたいうことであり、決してオペレーションを軽視していたという訳ではなかったが、それが今考えると大きな間違いだったのだ。その後、何人かのスタッフの離職をきっかけに、自分はホテルのオペレーションをサポートする役割も求められていることに気付かされた。この時に自分の認識を改め、「自分のホテルはレベルが低い」と考え方を一気に変えた。自分のホテルのレベルが低いと認識を改めるのは辛かったが、それを認めて良かったと思っている。

認識が変わると、自分の行動も変わってくる。これまでより週末の出勤日数を増やし、オペレーション業務をサポートする。実際にフロントデスクに立って、スタッフと一緒に仕事をする。このように、規模が小さくレベルの低いホテルでは、スタッフと一緒になって働くことが大切だと理解した。

この教訓は、今後も生きるだろう。ホテル全体もしくは各部署の実力を正しく理解して、その上で自分の役割や振る舞いを変えることで、摩擦を減らしながら仕事をする能力を身に付けたのだから。